校友トピックス

令和4年1月の聖語

静謐の聖語板に見出してきたこと

有明キャンパス正門、武蔵野キャンパス正門・北門に設置されている「聖語板」を覚えていますか?
先人のことばを月替わりに掲示しています。
在学時、何気なく見過ごした言葉、瞬時に腑に落ちた言葉、場面を具体的にイメージできる一文、また、思わずその意味を自身に問い掛けた経験はありませんか。
そして、1カ月間、朝に夕に目にすることで、じっくりと心に沁みこんでくる言葉がありませんでしたか?
今も変わらず、「聖語板」は学生に、教職員に、大学を訪れる人に静かに語りかけています。

1月の聖語

ただそしられるだけの人、またただめられるだけの人は 過去にも 未来にも そして現在にもいない

ダンマパダ 第二二八偈

今月の聖語は、世界中で愛読されている仏典『ダンマパダ』(「真理のことば」の意)の詩句の一編です。どんなに優れた人物でも、あらゆる人から称賛され続ける人などおらず、その逆もまた然りです。だからこそ周囲の評価に一喜一憂せず、自分自身と向き合い、己を高める努力を続けることが大切なのかもしれません。

さて、令和2年12月の聖語でも紹介しているとおり、『ダンマパダ』は仏教の開祖であるブッダ(釈迦)の教えの中でも最も有名な仏典です。全26章、423の詩句からなり、日本で広く読まれるようになったのは明治以降となります。

古代インド語であるパーリ語で書かれた原文は、韻を踏んだ詩句となっています。『ダンマパダ』の邦訳はいくつもありますが、仏教学者である中村 元先生の訳書『ブッダの真理のことば 感興のことば』では、敢えて新しい邦訳を試みた理由をあとがきに記しています。

(1)『ダンマパダ』の原文は極めて簡単明瞭である。その簡潔な風格を邦語に表現したいと思った。
(2)南アジア諸国の人々は、この『ダンマパダ』の文章を唱えるが、それを聞いた人々は聞いただけで解るのである。だから、この邦訳も、耳で聞いただけでも解るような文章に訳出したつもりである。

綴られているのは、簡単明瞭ながら人生の指針となる教えです。読むと心地よい文章で、実際に口ずさんでみればわかります。この機会にいろいろな詩句に触れて、今の自分に必要な言葉を見つけてみてはいかがでしょうか。一編一編が短いので、スキマ時間の拾い読みもおすすめです。

<参考文献>
中村 元 訳(1978)『ブッダの真理のことば 感興のことば』、岩波書店、pp373-374。

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