17歳で散華した乙女たち
毎年恒例となっている「くれない会主催 散華乙女追悼写真展」が、今年も11月20日(木)から武蔵野キャンパス雪頂講堂ロビーで開催されました。写真展では、太平洋戦争中、学徒勤労動員として働く武蔵野女子学院高等女学校の生徒たちの姿や、作業服を着て写真に納まる少女の姿などが展示されています。さらに、1トン爆弾の実物大模型も飾られ、当時の過酷な現実を物語っていました。
その中でも、ひときわ目を引いたのは「齋藤昭子さんとその姉弟妹」と題された一枚の写真。そこには次の説明が添えられています。
1944(昭和19)年12月3日の空襲により、亡くなった武蔵野女子学院高等女学校5年・齋藤昭子さん(右から2人目)。この日、中島飛行機武蔵製作所で勤労動員中の生徒たちは、警戒警報発令後、学校に待避した。15時半頃、大音響とともに爆弾が校内に落ち、うち1発が防空壕を直撃した。
写真の中からこちらをじっと見つめる齋藤さんを含め、4名の乙女たちが空襲の犠牲となったのです。
この写真展には、武蔵野大学高等学校の生徒も大勢訪れています。散華した乙女の在りし日の姿、自分と同じ年頃の少女たちが戦争のために労働に従事する姿を、神妙な面持ちで見つめていました。
令和7年度 散華乙女の追悼会
空襲のあったあの日と同じ12月3日、亡くなられた4人を偲び、「令和7年度散華乙女の追悼会」が散華乙女記念樹碑前にて執り行われました。散華乙女記念樹碑は雪頂講堂と大学図書館の間に建てられています。昨年、何輪かの白い花を咲かせていた記念樹の侘助も、今年はまだつぼみが固く、開く気配すらありません。
追悼会には、ご遺族をはじめ多くの本法人関係者が参列しましたが、そこに同級生の姿はなく、あれから81年もの月日が経過したことを否応なく思い知らされます。
礼讃歌「み仏に抱かれて」が静かに流れる中、手を合わせる参列者の背中からは深い哀悼の念とともに「決してこの記憶を風化させてはならない」という強い思いがにじみ出ているように感じられました。
この痛ましい現実を忘れることなく後世へ語り継ぎ、平和への誓いを新たにするため、散華乙女の追悼会は来年もその先も続けられていくのです。

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武蔵野大学中学校・高等学校 同窓会 くれない会
TEL・FAX:042-468-3161
e-mail:kurenai@musashino-u.ac.jp
開室:月・木(13:00~16:00)
※2025年12月19日(金)~2026年1月14日(水)は冬期休暇のため閉室です。
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<参考文献>
『あの日をわすれないために 武蔵野女子学院生の戦争証言集』








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