武蔵野マガジン

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ダンスと英語、それからキャリア支援|吉野大地さん

文=菅野浩二(ナウヒア) 写真=本人提供、小黒冴夏

吉野大地(よしの・だいち)さん|株式会社学情 キャリアサポート部主任
千葉県船橋市出身。2019 年3月に武蔵野大学のグローバル学部グローバルコミュニケーション学科を卒業。2019年4月から、転職・就職情報事業を展開し、就活サイト「あさがくナビ」などを運営する株式会社学情に勤める。営業職を志望したのは、営業パーソンとして活躍していた父の影響から。学生のキャリア支援を行ううえでは「学生が後悔しないような選択をしてくれるのが一番かなと思っていますし、その夢を支えるのが私たちの仕事だと考えています」と話す。

「『大学生でもこんなに青春できるんだな』と感じた」

公認ダンス部「Dance Club Alpha」に在籍していた 公認ダンス部「Dance Club Alpha」に在籍していた

武蔵野キャンパスの噴水を抜けた場所に広がる1号館のアーケード。あるいは1号館の2階にある学生ホール。この二つが特に印象深い場所だと言う。

2019年3月に武蔵野大学のグローバル学部グローバルコミュニケーション学科を卒業した吉野大地さんは現在、20代の専門転職サイト「Re就活」や就活サイト「あさがくナビ」などを運営する株式会社学情に勤めている。キャリアサポートの一環で母校の武蔵野大学も担当しており、かつての学び舎を訪れた際は、懐かしさを味わうためにわざわざ1号館のアーケードを通り抜けていく。

記憶に残る二つの空間は、学生時代に在籍した大学の公認ダンス部「Dance Club Alpha(ダンスクラブ・アルファ)」の主な活動場所だった。吉野さんの大学生活はダンスの思い出で彩られている。

「小学生のころからヒップホップダンスを続けていたので、武蔵野大学でも迷わずダンスサークルに入りました。サークルは120人くらいの大所帯で、毎週水曜日と土曜日に全体練習がありました。ヒップホップだったり、ブレイクダンスだったり、ハウスだったりと、ジャンルがいろいろと分かれていて、自分たちで企画している夏と冬のイベントに加え、大学祭にあたる摩耶祭でも踊りました。とても楽しくて『大学生でもこんなに青春できるんだな』と感じたことを覚えています」

2年生の秋からはヒップホップダンスのジャンルリーダーを務めた。「みんなの熱量を合わせることに力を注ぎました」と振り返る。ヒップホップを選んだ約40人のなかには本格的に極めたい仲間もいれば、友だちと気軽に楽しく踊りたいメンバーもいた。全員をより高いレベルに持っていきたいと考えた吉野さんは「ダンスがうまくなったらもっと楽しくなるよ」という姿勢でグループの底上げを図った。

大学時代のダンスの集大成が3年次の摩耶祭のステージだ。2017年10月、存分に踊り終わったあとに「このメンバーで本格的に踊るのはこれが最後だったんだ」と思うと、涙がとめどなくあふれてきた。みんなも、泣いていた。

TOEICでは300点台から800点超えを果たす

大学時代は英語力の向上に努めた 大学時代は英語力の向上に努めた

ダンスは武蔵野大学へ進学を決める一つのきっかけにもなっている。小学生のころからダンスを通してヒップホップが誕生したアメリカ、ひいては世界を自然と意識していた。「世界共通語」とも言われる英語の学習にも興味があった。吉野さんは話す。

「中高時代は英語教師になる将来も視野に入れていました。たとえば英米文学科で文学を専門的に学ぶよりも、広く英語や世界とふれたいと思っていたときに、武蔵野大学のグローバル学部グローバルコミュニケーション学科のことを知ったんです。まず全員留学という制度に魅力を感じましたし、英語だけでなく、中国語も学べる点にも引かれました。高校の先生も『少人数で学べるいい環境だよ』と薦めてくださいました」

いざ入学すると、主に英語だけで行われる授業や身近にいる留学生の存在などに感動する一方、自身の英語力の低さに気落ちした。帰国子女や英語にずっとふれてきた同級生が少なくなく、周りと比較すると決して出来のよい学生ではなかった。実際、最初に受けた英語能力テストのTOEICは平均スコアの半分ほどの300点台に落ち込み、能力別で分けられるクラスは下のほうのDクラスに振り分けられた。吉野さんは「入学当初は特にスピーキングが苦手で、本当に全然しゃべれないんだなと痛感しました」と頭をかく。

不甲斐ない自分を変えようと、吉野さんは発奮する。大学やキャンパス生活以外でも英語と接する時間を意識的に増やしたという。

「まず片道1時間ほどかかる登下校の電車でTOEICなどの勉強をするようにしました。大学にいて講義がない時間も図書館で参考書を開きましたし、スピーキングとリスニングの力を伸ばすために、自宅ではオンライン英会話で1日1時間くらいのレッスンを週に3回こなしました。とにかく周りに追いつかないとと必死でしたね」

努力は確実に実った。3年次、能力別のクラスは一番上のSクラスになり、TOEICでは約85%の正答率が必要とされる800点を上回ってみせた。大学4年次の卒業旅行では友人と2人でアメリカのロサンゼルスを訪れ、英語に苦戦することなく約1週間の滞在を大いに楽しんだ。

「不安だと思われがちですが、就活って実は楽しい部分もあるんです」

在学中に刺激を受けた講義は「武蔵野BASIS」だ。2021年に「武蔵野INITIAL」と改名して発展した全学共通基礎課程で、1年生の全員が履修する。吉野さんは「あれは面白かったですね」と笑みを浮かべる。

「武蔵野BASISでは、学部や学科の垣根を超えた7人前後のグループでいろいろなテーマについて学ぶんです。なかでも『基礎セルフディベロップメント』という科目は、扱う題材が哲学や世界文学、歴史学や数理学など多岐にわたっていました。会社組織で行われていることと同じように、さまざまな事柄を経済学部や法学部、建築学部といった各分野の知見を生かしながら議論するので、視野が広がりましたね」

会社組織に入ることを意識して本格的に就職活動を始めたのは3年次の夏だった。当初は英語力を生かし、グローバルにも活躍できるだろう商社に狙いを定めていたが、自分自身を見つめているうちに考えが変わった。多少の謙遜を交えながら、「なんとなく大学に入って、なんとなく就職活動を始めて、なんとなくビジネスパーソンになろうという自分に気づいて、同じような学生のもっと具体的な夢のサポートをしたいと思うようになったんです」と明かす。

人材業界に的を絞り、見事、株式会社学情への就職を決める。株式会社学情は転職・就職情報事業を展開しており、吉野さんは現在、教育機関向けに就活情報を提供するキャリアサポート部の主任として多くの大学を担当する。母校の武蔵野大学もその一つだ。吉野さんは「不安だと思われがちですが、就活って実は楽しい部分もあるんです」と指摘する。

「自分がどんな人間で、どんなことをやりたいのかをあらためて見つめ、社会の仕組みを知りながらいろいろな業界や企業の人と接することができる貴重な機会なんです。各大学の就活セミナーの講師として登壇する機会も多いんですが、その際は就職活動を楽しんでほしいという思いで話をしています。武蔵野大学には意欲的な学生がすごく多いなと感じますね。大学自体が新たなことにどんどん挑戦する環境なので、チャレンジ精神が旺盛な学生が多い点も武蔵野大学の特徴だと思います」

※記事中の肩書きは取材当時のものです。また、学校名は卒業当時の名称です。

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