静謐の聖語板に見出してきたこと
有明キャンパス正門、武蔵野キャンパス正門・北門に設置されている「聖語板」を覚えていますか?
先人のことばを月替わりに掲示しています。
在学時、何気なく見過ごした言葉、瞬時に腑に落ちた言葉、場面を具体的にイメージできる一文、また、思わずその意味を自身に問い掛けた経験はありませんか。
そして、1カ月間、朝に夕に目にすることで、じっくりと心に沁みこんでくる言葉がありませんでしたか?
今も変わらず、「聖語板」は学生に、教職員に、大学を訪れる人に静かに語りかけています。
2月の聖語
月をさせば指を認む 愚者は月をさす指を見る 賢者は月そのものを見る
今月の聖語を調べてみると
「月を指でさし示すのに、月を見ないで指を見る。道理を説き聞かせても、その本旨を理解しないで、その文字やことばのはしばしにこだわり詮索することのたとえ」とありました。
(出典 精選版 日本国語大辞典 / 精選版日本国語大辞典について)
この言葉は実に様々な場面で使われているようで、なんとブルース・リーの映画『燃えよドラゴン』でも登場しています。
ブルース・リー演じるリーが弟子にカンフーを教える場面で発した名セリフ「Don’t think. Feel!」。これはご存じの方も大勢いらっしゃいますよね。実はこの後
「It’s like a finger pointing away to the moon. Don’t concentrate on the finger,or you will miss all the heavenly glory.」と続くのです。
「考えるな、感じろ。それは月を指さしているようなものだ。指先にばかり集中するな。それでは栄光は掴めない」という訳になるでしょうか?
ここでふと自分の生活を振り返ってみると、この言葉の当てはまることがなんと多いことか…。
試合に勝つために練習していたはずなのに、いつの間にか練習のための練習をしている自分。勉強していたはずなのに、なぜか色とりどりのキレイなノートを作ることに夢中になっている自分。
手段(指さし)に囚われすぎて、本来の目的(月)を完全に見失なってしまっているのですね。
夢中になっている時というのは案外この状態に陥っていることが多いのかもしれません。反省反省。手段の先にある目的(月)を常に意識していなくては、と、身が引き締まる思いで今月の聖語を眺めました。
ところで、カンフーにとっての月って何なんでしょうね?これからじっくり『燃えよドラゴン』を観てみたいと思います!
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