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被害者支援の専門家・小西聖子教授による教養講座を動画配信|MUSASHINOおすすめナビ

「知っているだけでもかなり違う」

学校法人武蔵野大学後援会では2023年12月16日(土)に武蔵野キャンパスで、第90回学校法人武蔵野大学後援会教養講座「もしもの時に ―私たちの心に何が起こるか、どうすればいいか―」を開催しました。

講師の小西聖子教授は、被害者の心のケアの第一人者です。本講演では突然衝撃的なことが起きた時、人にどういうことが起きるのか、その経過や周囲ができることを心理的・精神医学的な観点からお話いただきました。最近起こったご自身の体験に始まり、家族の自殺や犯罪被害など、さまざまな臨床事例をもとにした実践的な講座となりました。

例えば、家族が自殺をして亡くなってしまった時、何の感情もなくなってしまって、悲しいともなんとも思わなかったという人が多いと、小西教授は説明しています。

「最初から悲しかったという人はほとんど聞かないですね。一番最初に人の心に起こることは『噓でしょ』『信じられない』という気持ちで、心も身体もいっぺんに信じていないんです。最初は何とも思わないということがよく起きます」

そして、こういった事例の治療は「思い出を忘れることではなく、思い出を自由に語れること」を目標にしていると続きます。

犯罪被害では、今起きていることが現実ではないように感じる「非現実感」、自分の体から自分の視線が離れてしまうように感じる「離人感」、ショックすぎてなかったことにしてしまう「回避的思考」といった状態があると言います。

それゆえに「性暴力被害時に、同意していないのに抵抗していない人は珍しくないということを、ぜひ多くの人に知っていただきたい」と小西教授は強調します。講座ではなぜ抵抗しないかについても、心理学および精神医学的側面から紐解きます。

「もしもの時」は誰にでも起こりうる 「もしもの時」は誰にでも起こりうる

またドラマなどで、目の前で誰かが亡くなった時に取りすがって泣いたり、誰かが殺されてすぐに復讐の鬼になったりするシーンがあるけれど、そんなことは普通起こらないだろうという風に小西教授は思うとか。そういったシーンでもらい泣きをする人は、少し意外に感じるかもしれません。

例えばお子さんが亡くなったとして、家族は茫然としていて悲しがっている風には見えないけれど、幼稚園の先生やママ友たちはすごく泣けるということは実際にあるそうです。

「泣けてるほうが本当に自然に見えますけど、それは少し距離があるからすぐに悲しいという感情がきて、この“直後の時期のショック”(急性期の反応)がなかったということですね。実際にはこう(泣けてるほうが自然)思われるので、自分のことを責めている人がとても多いです。だからそれはノーマルな反応ですよ、あなたが距離が近かったからですよって、相手のことをすごく大事に思っていたからですよ、という風に言ってあげたい。本当に言ってあげたいです」

さらにどうやって予防・治療するか、慢性化、長期化した時についても詳しく説明いただき、密度の濃い講座となりました。今回の教養講座の動画は期間限定で配信しています。トラウマ、急性ストレス反応、PTSD、認知行動療法といったキーワードが気になる方はぜひご視聴ください。

冒頭、小西教授はどんな「もしもの時」があるか例を挙げました。「突然、地震や火事が起こったら」「突然、事故に巻き込まれたら」「突然、パンデミックにまきこまれたら」…偶然にも年明けには能登半島地震が発生し、羽田空港・航空機事故が起きました。また、私たちの生活は3年にわたるコロナ禍で大きな影響を受けました。

講座でお話したことについて、小西教授は「知っているだけでもかなり違う」と説明しています。自分だけでなく周囲の人にも役に立ちますので、この機会にご覧ください。

配信期間:2024年1月26日(金)~3月31日(日)

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