静謐の聖語板に見出してきたこと
有明キャンパス正門、武蔵野キャンパス正門・北門に設置されている「聖語板」を覚えていますか?
先人のことばを月替わりに掲示しています。
在学時、何気なく見過ごした言葉、瞬時に腑に落ちた言葉、場面を具体的にイメージできる一文、また、思わずその意味を自身に問い掛けた経験はありませんか。
そして、1カ月間、朝に夕に目にすることで、じっくりと心に沁みこんでくる言葉がありませんでしたか?
今も変わらず、「聖語板」は学生に、教職員に、大学を訪れる人に静かに語りかけています。
10月の聖語
「道は近くにあり 迷える人はこれを遠きに求む」
清沢満之
今月の聖語は明治の宗教哲学者で大谷大学初代学長でもある清沢満之(きよざわ まんし)さんのお言葉です。清沢満之さんは「歎異抄」の精神(他力の教え)を近代において新しく蘇らせました。
高く掲げた目標を達成すべくあれこれ考え迷うなら、まずは目の前にある問題からコツコツ取り組むべし、と、きっとこういうことを清沢満之さんはおっしゃりたかったのかな?と思ったのですが、わが身を振り返るにこの言葉が当てはまるシチュエーションのなんと多いことか。
数年前に引っ越しをした時のことです。新居を埋め尽くす山積みの段ボールを前に呆然と立ち尽くす私…。「この段ボールを効率よくスムーズに片付けるためには一体どうすればよいのだ」と思案しているその横で、「こういう時は先を見ず、無心で目の前の段ボールから手を付けるのだ」と黙々と手を動かし始めた家人。
「確かにそうだな」と、段ボールを開ける、片付ける、段ボールを開ける、片付ける…を繰り返すうちに山はどんどん小さくなり、数日後にはすっかりきれいに片付きました。あれこれ考えていたら、こんなに早く片付かなかったかもしれません。
山登りもそうですよね。麓からいきなりゴールの山頂を見上げてしまうと、その長く険しいであろう道のりに初っ端から心が折れてしまうことも。
まずは目の前の1歩から。目標に向け、迷い、動き出せなくなったその時は、足元から続く道に1歩を踏み出してみてください。次の1歩、そしてまた次の1歩。結局それが一番確実で早い道のりなのかもしれません。
参考サイト:生涯と家族|清沢満之記念館
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