静謐の聖語板に見出してきたこと
有明キャンパス正門、武蔵野キャンパス正門・北門に設置されている「聖語板」を覚えていますか?
先人のことばを月替わりに掲示しています。
在学時、何気なく見過ごした言葉、瞬時に腑に落ちた言葉、場面を具体的にイメージできる一文、また、思わずその意味を自身に問い掛けた経験はありませんか。
そして、1カ月間、朝に夕に目にすることで、じっくりと心に沁みこんでくる言葉がありませんでしたか?
今も変わらず、「聖語板」は学生に、教職員に、大学を訪れる人に静かに語りかけています。
5月の聖語
「一人だと孤独感 二人だと劣等感 三人だと疎外感
自分の心がつくりだした“妄想”かもしれません」
今月の聖語を見て思い浮かんだのが、中学1年生の数学「正負の数」の単元で習った絶対値と相対値です。皆さんご存じの通り「絶対値」はゼロからの大きさを表す値、対して相対値は何かと比較して得られる値のことをいいます。
この「絶対」と「相対」という考え方は、数学に留まることなく人生においてもしばしば登場します。
例えば誰もいない教室で一人「今日は風が爽やかで気持ちがいいな~」なんて窓の外をゆっくり眺めていた所へ、友だち同士の賑やかなグループが入ってきたとします。その楽し気な様子に気分も一転、自分が一人であることを不意に突き付けられ孤独感に苛まれたことありませんか?
「一人」から「大勢の中の一人」へと、絶対から相対へ評価が変化したことで「孤独感」という名のお化けが突如現れるのです。「劣等感」も「疎外感」も同様、比較する対象を認知したとたん、お化けはその姿を現します。
経験を重ねると他者と比較すること自体少なくなりお化けも鳴りを潜めてくれるのですが、それでも何かと自分を比べた瞬間襲い掛かってくるのがこのお化けたちの厄介なところ。
でも恐れることはありません。そんなときは「自分はどうしたかったっけ」とあらためて絶対値を見つめ直してみてください。お化けなんてあっという間に消え失せてしまいますよ。だって所詮あれは“妄想”なんですからね。
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