武蔵野マガジン

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笑顔の先生|松田月さん

文=菅野浩二(ナウヒア) 写真=本人提供、小黒冴夏

松田 月(まつだ・るな)|千葉県内市立認定こども園 教諭

千葉県出身。旧姓は早川。千葉県立船橋東高等学校で学んだあと、2022年3月に武蔵野大学の教育学部幼児教育学科を卒業。3歳くらいからピアノを習っており、高校では吹奏楽部に在籍していたため、ピアノ実技テストには苦労しなかったという。造形の授業で課題制作があった際、友人たちと電話で話しながら、朝方までつくったのも大学時代のいい思い出だと話す。

入学式ですぐに友人ができ、新生活は6人組でスタート

「るなせんせい、だいすきだよっ!」

そう言ってもらえるのが何よりうれしい。日常のきらりとした場面を思い浮かべて、松田月さんはくしゃっと笑う。現在は千葉県内市立認定こども園の年長クラスで子どもたちの成長を見守る。

幼児保育に携わりたいと思ったのは高校3年生のときだ。進路選択を考えている際、十年以上も前の風景があざやかによみがえってきた。松田さんは明かす。

「大学進学を検討していたとき、小学生のころに『幼稚園の先生になりたいな』となんとなく思っていたことが頭をよぎったんです。というのも、自分が通っていた幼稚園の先生がとても素敵な方だったんですね。いつも元気で、なんでも『みんなで一緒にやってみよう!』という前向きな先生で。人生で最初の集団生活がとても楽しかったので、私もそういう場所に先生として関わりたいと思ったんです」

武蔵野大学の教育学部幼児教育学科を一般選抜で受験し、合格を獲得。2018年4月の入学式では席が近くだったという理由からすぐに友人ができた。その友人をきっかけにさっそく輪が広がり、気がつけば6人の仲間とともに新生活をスタートしていた。みんな保育園か幼稚園の先生になりたいという夢が同じだから、同志と過ごす時間は最高に心地よかった。

6人組での記憶は今も色あせない。松田さんは思い出す。

「よくカラオケに行ったり、パーティーを開いたりしていました。友人の家でハロウィーンパーティーを楽しんだこともありましたし、学校でバースデーパーティーを開いたこともありました」

「一緒にテスト対策をしたり、実習の準備をしたりしたのはいい思い出ですね」と続けるように、6人組は勉強にも真剣に打ち込んだ。1年次は座学で基礎を固める時間が多く、どの授業もためになった。なかでも自身にとって特に印象に残っているのは、のちにゼミでも指導を受けることになる今福理博先生の「発達心理学」だったという。脳の発達と心のはたらきを関連づけて子どもたちと接するという視点は、すとんと腑に落ちた。1年次の学びを通して、夢の実現に向けての思いはさらに強まった。

2年生のときに家の近所の保育園でアルバイトを始めた

2年次からは実習に励んだ。2年次の終わりにあたる2020年初めから、新型コロナウイルス感染症の影響が広がり始め、3年次はオンライン授業がほとんどだったけれど、コロナ禍でも実習を受け入れてくれる幼稚園や保育園、児童養護施設に足を運び、実践力を磨いた。「一日の活動をまるごと任せてもらえる日もあって、自分で指導案をつくって子どもたちと接する時間はとても充実していました」と振り返る。

さらに、松田さんは大学の学び以外でも小さな子どもたちを見守る時間をつくっている。

「2年生のときに家の近所の保育園でアルバイトを始めたんです。土曜日の3時間だけだったんですけれど、先生のアシスタント的な役割で、一緒に公園に行って遊んだり、お昼寝をするのを手伝ったり、一緒にご飯を食べたり、とても充実していました。4年次の最初くらいまで続けたので、そこでも実践力が養われたと思います」

コロナ禍にあって、実習とオンライン授業とアルバイトを続ける日々が自らを成長させてくれたと感じている。リモート授業後には課題を出されることが多く、机に向かう時間が思いのほか増えた。課題に取り組むのは、いわく「本当に大変でした」。夜ご飯を食べられないほど忙しい日もあったけれど、学んだ時間は大きな財産になったという。

3年次からは発達科学、発達心理学、教育心理学、発達支援を専門とする今福先生のゼミに在籍。将来を見据え、武蔵野大学が行っている公務員試験対策支援のための学内講座も受講した。4年次には発達心理学の心の理論をテーマに「幼児における協同遊びと心の理論・実行機能の関連の検討」というタイトルで卒業論文を書き上げた。

「武蔵野大学での4年間は、夢をかなえるために絶対に必要だった」

保育士になる選択肢もあったけれど、幼稚園教諭を選んだのは、幼稚園が文部科学省の所管する「学校」だからだ。遊びを大切にした教育を行い、感性や創造性を豊かにする手助けをする役割に大きな魅力を感じた。

千葉県内市立認定こども園の幼稚園教諭になって5年目、先生の立場から振り返ると武蔵野大学の幼児教育学科の環境は恵まれていたという。松田さんが指摘する。

「武蔵野大学の武蔵野キャンパス内には武蔵野大学附属幼稚園があって、1年生のときにそこで数回実習を行うことができました。校舎には20ほどの器楽練習室のほか、教材づくりの際に使用できる造形室もあったので、学内で友人たちとピアノの練習をしたり、実習の準備をしたりした経験は今に大きく生きています。武蔵野大学での4年間は、夢をかなえるために絶対に必要だったと思っています」

卒業後は2年間、千葉県内の市立認定こども園に勤務し、2024年4月の人事異動を機に、同県内の別の市立認定こども園へ異動。年長クラスを担当し、子どもたち一人ひとりの成長に寄り添いながら、日々教育活動に取り組んでいる。「年中クラスからの持ち上がりで付き合いが長いので、卒園式は大泣きしそうです」と感慨深げに話す。

夢をかなえて5年、ずっとやりがいに満ちている。子どもたちの成長を間近で見られるのが何よりもうれしい。昨日よりも今日、今日よりも明日と、一日一日前向きに子どもたちが過ごしている姿に濃厚な喜びを感じる。経験を積み、肩の力が抜けた点は大きいと話す。

「幼稚園に勤めて5年目ということもあって、心に余裕ができたのは自分にとって成長だと思います。1年目はそれこそ目の前のことにがむしゃらに取り組んでいましたが、今はもう一日の流れ、一年の流れがわかっているので、ゆとりを持って準備したり、子どもたちと接したりすることができています。そのなかで親御さんに『るな先生が担任でよかったです』と言ってもらえると、本当にうれしいですね」

みんなが大きくなったとき、自分のことをふと思い出してくれたら──そんなふうに考えながら、日々、笑顔を絶やさず子どもたちの成長を見守っている。

※記事中の肩書きは取材当時のものです。また、学校名は卒業当時の名称です。

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